『リフォーム前に学ぶ!目からウロコの収納術』
本日のコラムでは、リフォーム後もスッキリと暮らせるように、設計の段階で知っておきたい「収納計画」について紹介しましょう。
片付かないということで不満を抱いている方は少なくありません。
その原因の50%は実は住まいのせいでもあるのです。
収納計画は、誰が、どの場所で、どんな行動をするのか?それによって決まります。
例えば、子供が低学年の間、リビングダイニングで勉強をさせる家庭が少なくありません。
その場合、教科書や学用品が必要です。
そうなると、リビングダイニングには本箱が必要になります。
しかし、大きくなったら子供部屋に移動するので、そのことも加味して収納計画を立てます。
生活するには、様々な道具が必要になります。
特に一番家族が集まり環境の良いリビングは、
多くの道具(物)が発生します。
例えば荷造りの道具、裁縫道具、常備薬、紙袋などリビングにあると
サっと出せてサっと片づけられます。
少なくとも幅800mm×奥行き400mm×高さ1800mmある
可動棚の物入れがあると使用頻度が高い暮らしの道具が
収納できます。掃除機もリビングに置きたいと思っている人が大半です。
設計が変更できる段階で、間取りに家具を配置してみましょう。
例えば寝室の場合、ベッドがドアにぶつかる、など事前に気づく事ができます。
広さが取れない場合は、ドアを引き戸にしてスペースを有効的に使うことも設計段階なら可能です。
また、壁面があると収納家具を置くことができるので、壁面の確保は重要です。
掃き出し窓にする予定を腰窓に変更したり、引き込み戸にして壁面を確保すると良いでしょう。
特にキッチンは、モノが多く片づいていないと、お掃除が億劫になり、どんどん汚れが溜まりますます。
だから必要以上に洗剤を増やし、ますますモノを増やすという負のスパイラルが生じます。
例えば写真のように雑巾を掃除したい場所に吊るしておくと気軽にすぐ床を拭くことができます。
これも収納です。
洗うのが面倒なキッチンマットを外し、冷蔵庫にマグネットの「タオル用バーを付けて雑巾をかける。」
床拭きが気軽にできます。
それは、「頭の中の整理」です。その根本的なことを意識しなければ、いくらリフォームをしても、片づけやすい良い収納になるとは限りません。下記の通り詳しく紹介しましょう。
・整理収納は何のため?
まず目的を明確にしましょう。
収納と言うと「よりたくさんのモノを入れるため」
と思っている方が多いと思いますが、それはちょっと違います。
「使いたいモノがすぐ使えて、使い終わったらすぐ戻せる」ことが目的です。
そう意識すると、必要以上に奥深い収納は造らなくなります。奥が深いと奥に入れたモノが見えない、
出しにくいという結果になり、結局奥の物は使わなくなります。
すぐ出せれば使用後もすぐ戻せるので、出しっぱなしがなくなり、片づいた状態をキープできます。
収納とインテリアの違い
よく「ステキな収納・・・」などとお客様がおっしゃいますが、「ステキ」は《インテリア》のこと、収納と混同しているようです。
インテリアを先に考えてしまうと、きれいに見えても出し入れしにくい収納になってしまいます。
インテリアを先に考えた失敗例があります。

その方は、欧米の本を見て「白い壁に調理道具を吊るしたい」と工務店さんに伝え、その通りに造られています。
しかし、その調理道具がコンロから遠いのです。
すぐ片づけるのが面倒な様でコンロの上やカウンターにいつも出しっ放しになっていました。
設計段階でまず置き場所を決め、それからインテリアを考えておくと、ピクチャーレールを取り付けておくなど、絵を飾りやすできます。
・収納(片づけ)と掃除の違い
また、片づけとお掃除も混同している方が多いようです。
《片づけ》は使ったモノを元の位置に戻すこと《掃除》はモノに付着したホコリや手垢などを除去することです。
すぐ片づけられる部屋はモノが出ていないので、お掃除が簡単に早くできるようになります。
きれいに住んでいただくためにも収納は重要なのです。
・「収納指数」いう考え方を意識する
「収納指数」とは、片づけがどれくらいラクなのか、どれくらい面倒なのかを数値で表した指標です。
私たちは物を出し入れする時、歩いて使いたいモノの場所まで行き、そこでドアを開ける、または引き出しを引くなどのアクションを起こします。
つまり、出し入れの動きには《歩数》と《アクション数》があるということになり、それを足した数値が「収納指数」です。
面倒やラクの見える化です。歩数は平面図で、アクション数は正面図作成で最小にできます。
だからこそ“片づけやすい住まいは設計の段階で決まる”なのです!

この数値が少ないほどラクな収納、多いほど面倒な収納となります。
収納の基本ですが、モノ全てに「指定席」を与えましょう。
なぜ片付かないのか?なぜ探し物をするのか?それは全て指定席の有り様です。
原因は三つ。
つまりこれらは、「収納指数」が多いことになりませんか?
だからこそ、指数が少ない指定席を設計の段階で確保する必要があるのです。
・キャビネットを選ぶ際に考えるアクション数と使用頻度
例えば、次のキッチンで《アクション数》を見てみましょう。

[A]の食器棚に同じ食器が①は棚に、②は引き出しの中に入っています。
①は扉を開く1アクションで取れますが、②は扉を開く+引き出しを引くの2アクションが必要です。
使用頻度が多い食器は、アクション数が少ない方にいれるようにします。
次は[B]の引き戸の食器棚を見てみましょう。
引き戸の場合、例えば右側から食器①を出し、さらに左にある食器を出したい場合、
2枚の重なっている戸を右にスライドしなければ出せません。
次に右の引き出しの中の食器②を出そうとするとまた2枚の戸を
左に全開スライドさせなければなりません。
つまり引き戸は出し入れのアクション数が多くなりなりかねないのです。
しかしながらスライドタイプも必要です。
通路が狭い場合、[A]の扉タイプは扉を開くと通路を塞いでしまいます。
だから、食器棚の前のスペースが少ない場合は有効なのです。
このように、アクション数を意識するとキャビネットを選ぶにも迷うことなく決めることができます
・キッチンに重要な4つのポイント
これからリフォームなどでキッチンを新しくする場合、
次の4つポイントをバランスよく配分することで、使いやすいキッチンが実現します。
それは、シンクやコンロ以外の見落としがちなモノの収納場所です。
①炊飯器などの家電製品
②分別ゴミスペース
③食品のストックスペース
④食器
この4点を収めるスペースは意外に取れないモノです。
あとから何とかなると思いがちですが、設計段階で確保しなければ、
ゴミ箱がジャマで引き出しが開けられない、などということも起こり得ります。

写真は間口180cmでバランス良く4つのポイントが確保されています。
この他に冷蔵庫も置くとプラス70~80cmが必要です。
背面収納スペースとして250~260cmのスペースだとすればこのような配置になります。
もしもよりスペースが多くあったら③④を増やしましょうす。
①のカウンター部分を増やすと、収納が確保できなくなるからです。
②のゴミスペースがちょうどシンクの後ろの位置にあると、
振り向くだけで捨てられるので《歩数》が最小になり使いやすいキッチンになります。
今回のコラムは、いかがでしたでしょうか。
「収納」は設計の段階でしっかりと計画しておく必要があることと、
「収納指数」を意識することで、リフォーム後もスッキリ快適に暮らすことができるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。
コラム執筆:社団法人日本収納カウンセラー協会 代表
収納カウンセラー飯田 久恵
®2015 飯田 久恵
役立つマイホーム基礎知識はネクスト・アイズ株式会社が記事提供しています。
本記事に掲載しているテキスト及び画像の無断転載を禁じます。
片付かないということで不満を抱いている方は少なくありません。
その原因の50%は実は住まいのせいでもあるのです。
【1】収納は思っている以上に重要
行動を読んで収納計画を
収納計画は、誰が、どの場所で、どんな行動をするのか?それによって決まります。
例えば、子供が低学年の間、リビングダイニングで勉強をさせる家庭が少なくありません。
その場合、教科書や学用品が必要です。
そうなると、リビングダイニングには本箱が必要になります。
しかし、大きくなったら子供部屋に移動するので、そのことも加味して収納計画を立てます。
リビングにまとまった収納があると暮らしやすい

特に一番家族が集まり環境の良いリビングは、
多くの道具(物)が発生します。
例えば荷造りの道具、裁縫道具、常備薬、紙袋などリビングにあると
サっと出せてサっと片づけられます。
少なくとも幅800mm×奥行き400mm×高さ1800mmある
可動棚の物入れがあると使用頻度が高い暮らしの道具が
収納できます。掃除機もリビングに置きたいと思っている人が大半です。
設計の段階で必要な家具を図面に配置
設計が変更できる段階で、間取りに家具を配置してみましょう。
例えば寝室の場合、ベッドがドアにぶつかる、など事前に気づく事ができます。
広さが取れない場合は、ドアを引き戸にしてスペースを有効的に使うことも設計段階なら可能です。
また、壁面があると収納家具を置くことができるので、壁面の確保は重要です。
掃き出し窓にする予定を腰窓に変更したり、引き込み戸にして壁面を確保すると良いでしょう。
《すぐできるPOINT!掃除を楽にする収納の一つ》

だから必要以上に洗剤を増やし、ますますモノを増やすという負のスパイラルが生じます。
例えば写真のように雑巾を掃除したい場所に吊るしておくと気軽にすぐ床を拭くことができます。
これも収納です。
洗うのが面倒なキッチンマットを外し、冷蔵庫にマグネットの「タオル用バーを付けて雑巾をかける。」
床拭きが気軽にできます。
【2】リフォームの前に収納の考え方を知る
それは、「頭の中の整理」です。その根本的なことを意識しなければ、いくらリフォームをしても、片づけやすい良い収納になるとは限りません。下記の通り詳しく紹介しましょう。
・整理収納は何のため?
まず目的を明確にしましょう。

と思っている方が多いと思いますが、それはちょっと違います。
「使いたいモノがすぐ使えて、使い終わったらすぐ戻せる」ことが目的です。
そう意識すると、必要以上に奥深い収納は造らなくなります。奥が深いと奥に入れたモノが見えない、
出しにくいという結果になり、結局奥の物は使わなくなります。
すぐ出せれば使用後もすぐ戻せるので、出しっぱなしがなくなり、片づいた状態をキープできます。
収納とインテリアの違い
よく「ステキな収納・・・」などとお客様がおっしゃいますが、「ステキ」は《インテリア》のこと、収納と混同しているようです。
インテリアを先に考えてしまうと、きれいに見えても出し入れしにくい収納になってしまいます。
インテリアを先に考えた失敗例があります。

その方は、欧米の本を見て「白い壁に調理道具を吊るしたい」と工務店さんに伝え、その通りに造られています。
しかし、その調理道具がコンロから遠いのです。
すぐ片づけるのが面倒な様でコンロの上やカウンターにいつも出しっ放しになっていました。
設計段階でまず置き場所を決め、それからインテリアを考えておくと、ピクチャーレールを取り付けておくなど、絵を飾りやすできます。
・収納(片づけ)と掃除の違い

《片づけ》は使ったモノを元の位置に戻すこと《掃除》はモノに付着したホコリや手垢などを除去することです。
すぐ片づけられる部屋はモノが出ていないので、お掃除が簡単に早くできるようになります。
きれいに住んでいただくためにも収納は重要なのです。
【3】具体的な使いやすい収納とは
・「収納指数」いう考え方を意識する
「収納指数」とは、片づけがどれくらいラクなのか、どれくらい面倒なのかを数値で表した指標です。
私たちは物を出し入れする時、歩いて使いたいモノの場所まで行き、そこでドアを開ける、または引き出しを引くなどのアクションを起こします。
つまり、出し入れの動きには《歩数》と《アクション数》があるということになり、それを足した数値が「収納指数」です。
面倒やラクの見える化です。歩数は平面図で、アクション数は正面図作成で最小にできます。
だからこそ“片づけやすい住まいは設計の段階で決まる”なのです!

この数値が少ないほどラクな収納、多いほど面倒な収納となります。
収納の基本ですが、モノ全てに「指定席」を与えましょう。
なぜ片付かないのか?なぜ探し物をするのか?それは全て指定席の有り様です。
原因は三つ。
(1)指定席が決まっていない、または足りない
(2)指定席があるけれど使いたい位置から遠い=《歩数》が多すぎる
(3)指定席があるけれど、手間がかかる=《アクション》が多い
(2)指定席があるけれど使いたい位置から遠い=《歩数》が多すぎる
(3)指定席があるけれど、手間がかかる=《アクション》が多い
つまりこれらは、「収納指数」が多いことになりませんか?
だからこそ、指数が少ない指定席を設計の段階で確保する必要があるのです。
・キャビネットを選ぶ際に考えるアクション数と使用頻度
例えば、次のキッチンで《アクション数》を見てみましょう。

[A]の食器棚に同じ食器が①は棚に、②は引き出しの中に入っています。
①は扉を開く1アクションで取れますが、②は扉を開く+引き出しを引くの2アクションが必要です。
使用頻度が多い食器は、アクション数が少ない方にいれるようにします。
次は[B]の引き戸の食器棚を見てみましょう。
引き戸の場合、例えば右側から食器①を出し、さらに左にある食器を出したい場合、
2枚の重なっている戸を右にスライドしなければ出せません。
次に右の引き出しの中の食器②を出そうとするとまた2枚の戸を
左に全開スライドさせなければなりません。
つまり引き戸は出し入れのアクション数が多くなりなりかねないのです。
しかしながらスライドタイプも必要です。
通路が狭い場合、[A]の扉タイプは扉を開くと通路を塞いでしまいます。
だから、食器棚の前のスペースが少ない場合は有効なのです。
このように、アクション数を意識するとキャビネットを選ぶにも迷うことなく決めることができます
・キッチンに重要な4つのポイント
これからリフォームなどでキッチンを新しくする場合、
次の4つポイントをバランスよく配分することで、使いやすいキッチンが実現します。
それは、シンクやコンロ以外の見落としがちなモノの収納場所です。
①炊飯器などの家電製品
②分別ゴミスペース
③食品のストックスペース
④食器
この4点を収めるスペースは意外に取れないモノです。
あとから何とかなると思いがちですが、設計段階で確保しなければ、
ゴミ箱がジャマで引き出しが開けられない、などということも起こり得ります。

写真は間口180cmでバランス良く4つのポイントが確保されています。
この他に冷蔵庫も置くとプラス70~80cmが必要です。
背面収納スペースとして250~260cmのスペースだとすればこのような配置になります。
もしもよりスペースが多くあったら③④を増やしましょうす。
①のカウンター部分を増やすと、収納が確保できなくなるからです。
②のゴミスペースがちょうどシンクの後ろの位置にあると、
振り向くだけで捨てられるので《歩数》が最小になり使いやすいキッチンになります。
今回のコラムは、いかがでしたでしょうか。
「収納」は設計の段階でしっかりと計画しておく必要があることと、
「収納指数」を意識することで、リフォーム後もスッキリ快適に暮らすことができるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。
コラム執筆:社団法人日本収納カウンセラー協会 代表
収納カウンセラー飯田 久恵
®2015 飯田 久恵
役立つマイホーム基礎知識はネクスト・アイズ株式会社が記事提供しています。
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